大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和33(オ)304 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人鍛治利一名義の上告理由第一点について。

論旨(一)に引用する原判決の判断は、その挙示の証拠により是認しうる。甲一

号証の裁判上の和解が所論のような経緯で成立し、また和解調書一〇項が所論のよ

うに、和解の日である昭和二六年五月二八日より同二八年一二月末日までを契約期

間とし、爾後は、右期間中被上告人において和解条項を忠実に履行した場合に限り

当事者双方の協議によつて契約を更新することがありうる趣旨で挿入されたにすぎ

ないとしても、これによつて原判決の所論の判断に消長を来たすものではない。し

たがつて、本件賃貸借は、借家法の適用を受けるため、前記和解条項が所論のよう

な趣旨の規定とすれば、明らかに賃貸借の更新に関する借家法の規定を制限するこ

とになるので、同法六条によりその限度で無効となることもいうまでもない。原審

の前記判断には所論の違法なく、論旨は理由がない。

同第二点について。

しかし、所論乙一、二号証によると、所論の契約が「甲一号証の和解を変更改廃

するものではない」としながら、しかも「契約期間はいかなる事情があるとも延長

を認めない」とか、「契約期間満了の場合被上告人やE夫妻よりは延長の申出をな

さない」というような条項を挿入する等、甲一号証の和解条項をさらに制限するよ

うな頗る厳格な規定をしていること、乙二号証の契約書には被上告人も当事者とな

つていることと、原判決挙示の証拠関係をあわせ考えると、原判決の所論の認定に

はなんら本末顛倒の点はなく、その他論旨(一)に引用する原審の認定は、いずれ

も挙示の証拠から肯認することができる。論旨は理由がない。

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同第三点について。

原審の確定した事実関係からすれば、上告人が被上告人の賃料支払の遅延を理由

として本件賃貸借を解除することは、信義則上許されないものとした原判決の判断

は正当である。所論は、ひつきよう原審が適法に確定した事実にそわない事実を前

提として原判決を非難するものでしかなく採るを得ない。

同第四点について。

論旨引用の原判決説示部分は、要するに、Eが本件家屋でパチンコ営業をするに

ついて、第三者と共同経営したり、第三者に転貸して営業させた事実を、上告人は

黙認し、その代り賃料を一方的に大巾に値上げしたこと、また上告人は転借人Fよ

り民法六一三条によつて直接賃料の支払を受けたこと、さらに右Fが本件家屋でパ

チンコ営業をするための許可申請をするに際しては、家屋使用承諾書を提出してこ

れに協力したこと等により、結局前記共同経営ないし転貸について明示または黙示

の承諾を与えているのであるから、これを理由に本件賃貸借契約の解除をすること

はできないというのであつて、右認定の事実関係からすれば所論の点に関する原判

示は正当である。原判決の右判示は、決して、上告人において前記転借人Fをして、

昭和二八年一二月末日以後も本件家屋を使用させることを承諾したとの事実認定を

前提としているものではないこと判文上明白である。原判決がこれを前提とするか

の如く主張する論旨は、原判決を正解せざるに出でたものであつて、論旨はすべて

採るを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 垂 水 克 己

裁判官 河 村 又 介

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裁判官 高 橋 潔

裁判官 石 坂 修 一

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